2007年7月27日 (金)

白痴の翻訳

カラマーゾフの翻訳におかしな言いがかりばかりつけて亀山先生に恨みでもあるんじゃないのと思われてもいけないので、白痴の翻訳にシフトして疑問点をあげてみましょう。これはあれですよ、カラマーゾフみたいに行き当たりばったりにページを開いてネタ探ししたんじゃなくて、つまり、訳文を見て変だと思ってから原文を見直したものじゃなくて、原文を読みすすめてて変だと思った所ですからね、手間がかかってるんですよ。(だからといって正しいとは限らない。もっともこれは言わずもがなかな。皆さん私なんかより大家のおっしゃることを信用なさるでしょうからね。ま、参考までに、って意味で。)

私の手元にあるのは河出書房、世界文学全集、第45巻、ドストエフスキー・白痴、米川正夫訳、昭和46年発行のものです。(当時、米川正夫さんは既に亡くなっていらっしゃるようですので、その後の文庫本でも直ってないんじゃないんですか。それとも新たな発行者に修正する権利があるんでしょうか、そういうことも知りたいなあ。)とにかく、参考にさせてもらいながらけちをつけようってんですから、ふてえやつです。

しかしまあ、翻訳書ってのはどんなふうにしてできあがるんですか?編集者の方ってのは何をなさるんですかね。おかしいと思っても訳者に文句をつけることはできないんざんすか。例の有罪・無罪の問題にしても編集者の方はなんも思わなんだのじゃろか。
それから翻訳の作業には『下訳』とかいう方がいらして大家は原文なんか見ないってのはほんとでやんすか。こんなことを言うのもですね、どうしてこういう間違いがおこるんじゃろか、って不思議に思うことがあるんですよね。いや、間違ったわけは明白なんだが誰のせいなのかがどうも・・・つまりさ--第二部一、エパンチン将軍夫人がベロコンスカヤ公爵夫人から手紙をもらうあたり。(以下、拙訳。)

しかしさらに一週間後、ベロコンスカヤからまた手紙を受け取ると、今度は将軍夫人も話をすることにした。彼女が厳かに発表したところによると、『ベロコンスカヤのおばあさん』(彼女は公爵夫人の噂をする時、決してこれ以外の呼び方をしなかった)がすごくほっとするような知らせをよこした。それは、あの・・・『変わり者よ、ねえほら、あの公爵のことよ!』

これが米川訳では-ーあの・・・『恋人さん、ほら、例の公爵のことに』ついて、--

明白な取り違えがいつどのように起きたのか、(『さん』をつけた時点で少し変だと思っていらしたでしょうにねえ・・・)興味あるところですねえ。

それから今の部分のちょっと前のところ。米川訳:彼女(ヴァルヴァーラ)はなぜか急にエパンチン家の令嬢たちのもとへ出入りを始めたのみか、ほどなくリザヴェータ夫人驚くほど、親密な間柄になったのである。(イタリックにした「と」は「も」が正解)。--これはもう100%誤訳でなく誤植の類ですね。しかし、後の文と矛盾するのになぜ気がつかないんだろ。

あれ、今日は翻訳そのものとは関係ない話になってしまいましたね。ま、いいや。次回は(そんなものがあればですが)も少し本質的な話にしたいものです。

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