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2011年6月 9日 (木)

罪と罰第5部(2)

しばらくでございます。いろいろありまして。あたくしのいろいろなんざどうでもいいんだが。世の中のほうはどうなるんでございましょう。
しかしまあ、なんですなあ、カンちゃんもしゃっきりしないけど、ゲンちゃんを推進してきた党の旦那さんたちがなんで偉そうになさっているのかさっぱりわかりません。ま、いいや。ひとのことは言えません。あたくしにも責任はある。世の中のことはすべてつながっているでな。
えーと、それから、おすもうさんのはなしがありましたな。御裁きそのものが八百屋さんでやんしたなあ。あれが通用しちゃうんだなあ。お見事!
えーと、それから・・・ま、いいや。そんなこんなで今日の日だ。やっとブログを更新できそうになってきました。しかし・・・かれこれ四か月も間があいちゃって。しばらく休むといけません。ロシア語がさっぱりわからん。まるで外国語のよう・・・おほほ。ギャグのすべりも上々でおじゃる。えーえ・・・それに、こうして離れてみると、いままでなんと些細なことばかりつついてきたことか。えーい、かまうもんか。こうなったら、何の役にも立たない些細なことばかりつつきまくってやるんだ・・・と、地下室ふうをよそおってごまかす・・・さて、罪と罰の第5部に入ったところでした。ルージンさんがぶつぶつ言ってはる。

《失敗はまだある、あのふたりに一文も金を渡さなかったのもまずかった》憂鬱な気分でレベジャートニコフの部屋にもどる途中、彼はそう考えた。《ちぇ、なんだっておれは、ユダヤ人みたいにケチくさいまねをしたんだ? 節約だってできなかったじゃないか! あのふたりをできるだけみじめな状態にしておき、このおれを生き神さま扱いさせようって腹だったのに、まんまと逃げられちまった!(亀山訳11-12ページ)

まずは、「節約だってできなかったじゃないか!」のところ。ロシア語では:

Тут даже и расчета никакого не было!

расчетだってどんなものもなかった!(とりあえずこういう感じ)

ここではрасчетが重要そうなので、その意味を調べてみましょう。расчетは「計算」、「計算すること」。さらに、「想定」とか「つもり」。あるいは、勘定と言えば「支払い」、彼のすることは計算づく、なら「利益」、計算して暮らす、なら「倹約」を表すってな感じで使えるらしい。ですからして、過去において現在の事態に関する計算があったとか、なかったとかいう話になりそう。さてさて、そこでですが、問題の文は「いかなる計算も、どのような計算もなかった」、というように読める、かな。
待て待て、待てーい!「あのふたりをできるだけみじめな状態にしておき」云々というのは、「計算」ではないのか? いえいえ、ルージンさんの御考えは違う。ここで、計算とはことをうまく運ぶためのものでなければならない。たとえば、「金を渡したり」、プレゼントをしたりして、ハイ、サヨナラとは言いにくくさせようというのが計算(というようなことが引用箇所の後に書いてある)。そういう計算をすべきだったというのがここの趣旨。
さて、それではどのように訳しますか? 「どのような計算もなかった!」では、よくわからない・・・「計算だってひとつもしていない」。?・・・

ああ、わかってくれとは言わないが・・・

そもそも、なぜ「計算」という言葉が出てくるのか? ユダヤ人云々からの連想だろう。ケチるからには算盤づくでなければならぬ。ところが、計算ひとつしていないではないか! これが思考の流れというものでおます。というわけですので、こんなところがご推奨: 「計算の上のことならともかく!」。

さてさて、先生方はどう訳しておられるか:

中村訳: どうもあまり無成算にすぎたというものだ!
江川訳: これじゃ、まるで先を見る目がなかったも同然だ!
亀山訳: 節約だってできなかったじゃないか! 

見解の相違でござるか。しかし・・・
中村訳。成算がないというのは、成功の見込みがないということ。それなのにことを運んだということ。一方、ルージン氏は成功の見込みがないなんて思っていないどころか、むしろ自分の立場を過信していた。従いまして、中村訳は不適訳でござりまする。
江川訳。なるほど、先を見ていなかったのだから、「先を見る目がなかったも同然」ではある。同然ではあるが、別の事柄である。ルージン氏はそうは言っていないし、ユダヤ人も置いてきぼりだなあ。
亀山訳。расчетに「節約」の意味はある。が、節約の意図だ。「節約だってできなかったじゃないか」と訳すことも可能だが、それは、たとえば、ローンを組んだので、いろいろ節約の手段を講じなければならなかったのにひとつもできずに破たんしてしまったときとか、かな。ケチったのに結果として節約にならなかったのは駄目。いずれにしても、この際、いかにルージンさんにふさわしいとしても、「節約」は絡めない方が論理はスッキリですね。

本日はこんなところで。ぼちぼちと・・・

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