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2010年9月23日 (木)

罪と罰第3部(20)

言語明瞭、意味不明瞭って人がいたけど・・・読みやすい翻訳ってのも難しいよね。難解な言葉の方が雰囲気出てるってこともあるわけで・・・著名なお方が「よくぞここまでかみくだいて訳された」とか言って亀山訳を激賞したなんてエピソードを聞くと・・・はて、はたして米川訳でも読みこなせちゃう人に「よく」かみくだかれているかどうか判断できるのかしらんなんて、ふと、疑問が・・・そもそも亀山先生にしてからが、対象と想定する読者層の国語力をはかりかねているかもしれないし・・・これは、読むということの本質にかかわる問題なんだけど・・・もっとも、大半の読者にしてみれば最後まで面白く読めればいいだけの話だが・・・あ、それが難しいんだよね。が、まあ、ここんとこはこうじゃなくちゃいけないとか、うるさいことをゆう輩は普通の読者からすると、奇人変人暇人の類で、どっかで勝手にやってなさいってなもんだわね。それにひとにケチをつけるくせに自分だってちっともわかってないってのはよくあるこってね。わてなんかも肝心なところほど理解できてないようで・・・いや、ドシロートのわてにかぎりまへんで。ドストエーフスキイの研究者を名乗る方々だって怪しいもんや・・・ウフ、話、それたかな・・・結局・・・百万部も売れたという結果こそ最も大きな判断材料とすべきかも。まあ、タイミングの問題とか売り出し方とかあるにしても・・・さて、何が言いたいのかまるでわからなくなってきやしたが、要するに、亀山訳の読みやすさについては素直に評価しなければならない。平易な言葉のほかにも読者を飽きさせないためのサービスがあるとすれば、そこに文句を言ってもしょうがない・・・とはいえ、ドアはホーム、難解な言葉を捨てていくと、最適な言葉選びができるとは限らないわけで・・・でも、それは本質的問題じゃないかも・・・えーいほんとに、キミはいったい何を言いたいんですか? おっと、それがわかるくらいなら苦労しないやね。 

— А коль так-с, то неужели вы бы сами решились — ну там ввиду житейских каких-нибудь неудач и стеснений или для споспешествования как-нибудь всему человечеству— перешагнуть через препятствие-то?.. Ну, например, убить и ограбить?..

では、もしそうだとするとですな、あなた自身も決意されたのとちがいますか――まあ、生活上の不如意とか、窮迫とか、ないしは全人類への何かの貢献とかを頭におかれて、障害をふみ越えることをですよ。たとえば、人を殺して強奪するとか?」(江川訳156ページ)

だとすると、あなたも決心したかもしれないわけだ――たとえば、生活上でなんらかのトラブルが起きたり、困ったことがあったりした場合とか、人類全体のためになると思ったときに、障害を踏み越えることをです・・・・・・まあ、たとえば、殺して、盗むといった?・・・・・・(亀山訳176ページ)

たしかに、不如意だの窮迫だの、そうそう使う言葉ではないけど、この場合、犯行前のラスコーリニコフの状態に当てつけて言うには、トラブルが起きたり云々よりぴったりなのは明らか・・・。

――ふうん。キミ、まるで読めてませんねえ。だいたい стеснений の窮迫はいいとして、неудачはうまくいかないってことですよ。不如意はちょっと、ええ。いや、そんなことより問題は、決意なり決心なりがいつされたか、ですよ。失敗なり、窮迫ゆえに決意したというのでは、ほとんど現実に何らかの犯行を決意したことになってしまう。ちがうでしょう、これは表面上、あくまで「文学的観点から」(ポルフィーリー談)の決意を問うてるので、従って、論文執筆時、自らを非凡人と考えたときに、なされた決意なんだなあ。だから、ナニナニな場合に踏み越える決心をした、という言い方になるのですよ。

・・・は、はあ。なあるほど。フム、困ったから踏み越える決意をしたってのはたしかに・・・でもお、殺して盗むなんて当てつけがすぎるくらい。殺して盗む決意をしたかもしれないわけだ、か・・・それに、ввидуは原因を示すものでしょ。「あったりした場合に」なんてなるのかなあ。それに、ニュートンとかナポレオンとかを念頭においていて、自らも非凡人のほうに加えようというのに、困った時には踏み越えようなんて、ケチな決意だよねえ。あのうですねえ・・・決心したという過去形じゃなくて、踏み越える決意をしたりしませんかね?と訳せませんかねえ。それならいろいろとしっくりくるんだけど・・・

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コメント

 はじめまして
 質問です
 「クリスマスキャロル」の翻訳なのですが
 この翻訳は プロジェクト杉田玄白の枠外なのでしょうか?
 それとも 扱いは それに殉じているのでしょうか?
 

投稿: 荒尾 和史 | 2010年9月26日 (日) 13時19分

荒尾さんへ

「クリスマスキャロル」は、他の方の翻訳がプロジェクト杉田玄白に登録されている上、初めて翻訳のまねごとをした自信のないものでしたので、プロジェクト杉田玄白に登録しませんでした。
何かに利用なさりたいということでしたら準じる扱いということで結構です。

投稿: coderati | 2010年9月27日 (月) 10時00分

ご回答ありがとうございます

 現在 アイフォン用アプリで 杉田玄白参加作品を中心に プロジェクトグーテンベルグと ハイパーリンクをつなげての 電子書籍を作っており、一部は 流通中です。
 APPBANKでも 取り上げられてこともあり、今後も コンテンツを増やす予定です。
 方式は 文芸春秋やPHP研究所が採用してる 電子書籍形式と同一で、その文庫アプリからも検索できます。
 何か気になること等ありましたら、ご連絡ください。

投稿: 荒尾 和史 | 2010年9月27日 (月) 23時37分

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